しばらく前のことである。
教師をしているTさんは、学年主任で月に1度の学年だよりの作り方を習いに来ていた。彼女との日常会話からは、しっかりしたいい先生と思われた。パソコンは、習得は無理で結局私が作製していた。彼女は、鬱で通院していて心の余裕がなかった。新しいことを覚える集中力や意欲もなくなっていた。
当時、鬱の薬を飲みながら働いていたが現在は退職している。退職後に電話をかけてきたが少し話しただけでも不安定さが伝わってきた。
『上の子は、学生時代になんのスポーツをしていて国体に出場して優秀な成績を上げて結果一流企業のどこそこにスポーツがらみで就職して・・・』『下の子は、どこの大学を卒業して・・・』
本人の立場にしてみれば間違っていないのだが微に入り細に入り子どもの自慢話を延々と話し続けるのはおかしい。自身の話は、皆無だった。自己肯定感がゼロどころかマイナスに触れてしまったみたい。子どもの存在だけが彼女の生きる支えのように感じた。
私のところに通っているときに
『主人が子どもが大学を卒業するまで頑張ってくれっていうのよ。』
と言っていた。子どもの学費のために病気を押して働いていた。
精神科の医師のことは
『すごくいい先生でね。休職の書類はいつでも書いてあげるよ。大丈夫だからね、と言ってくれて本当に優しいいい先生なの。』
といつも感謝の言葉を口にしていた。
当時、会話は普通でおかしいところは無かった。
どうすればよかったのか?
彼女は仕事を諦めて退職して療養すればよかったと思う。退職金をそっくり大学の学費と生活費に回せば経済的に何とかなった筈。老後の生活は、年金がある。私に今ほどの知識があればアドバイスできたか?・・・できたかな?他人の心情に干渉するのは難しい。
私は、2年前の夏 鬱と思われる症状になった。医者にかかる前にネットで鬱について調べた。調べている最中や医者に行くまでの予約の待ち時間は辛かったが、安易に薬に頼るべきではないと理解したので待てた。
鬱について調べる中で鬱よりも怖いのが 『薬に依存が発生する』 ということだった。鬱の薬の依存は、アル中や覚せい剤中毒よりもはるかにきついと書かれていた。
私の場合、初めての予約時に受付の女性に
『お宅の先生は、漢方薬を出しますか?』
と質問して
『出します。』
ということだったので現在の医者に通うようになった。
私の病状を話したら 軽い鬱状態とのことで抗うつ剤を処方してくれるということになった。私は、
『ネットで鬱の薬のリスクを読んだので抗うつ剤は欲しくない。1か月だけ漢方でやってみたい。1か月しても良くならなかったら抗うつ剤を飲むことを考えたい。』
と言った。当然医師は、少々感情を害したようだったが適当と思われる漢方薬を処方してくれた。この薬は絶対依存になることはありませんから、と頓服として精神安定剤も出してくれた。精神安定剤は飲まなかった。
1か月飲んだらフッと頭痛が消えた。不眠があったので、9~12月までロゼレムという新しいタイプの睡眠薬を3分の一にカットして毎晩飲んだ。1月は、4分の一カットを1週間、6分の一、8分の一に減らして最後は8分の一を一日おき二日おき三日おき 1月の末には完全に断薬した。
無理に断薬したので眠れない夜もあったが翌日よく眠れたので良しとして再び睡眠薬を飲むことは無かった。医者は眠れないというと簡単に睡眠薬を処方してくれる。私は、飲む前から怖さを知っていたのでなるべく早く止めようと決心していた。
その辺の経緯は、下記の28番に投稿した。興味がなくても読んで欲しい。精神科の薬から自分を守るのは自分自身である。
http://www.truthaboutpsychiatry.net/readerscomments.html